韓流エンタメでカンパ〜イ『太陽の末裔』(全24話)

 ソン・ジュンギ主演の『太陽の末裔』(2016年)は、韓国内で最高視聴率41.6%を記録
し、この年の賞を総ざらえした。すでに世界32カ国以上で放送されている伝説のラブス
トーリーである。
 彼は『ときめき成均館スキャンダル』(2010年)から人気が出始め、役柄は甘ったるい
学生だったり可愛い世継ぎ役だったりしたが、『太陽の末裔』では特殊部隊のエリート軍人
ユ・シジン役をこなした。
 甘いマスクの童顔に軍服、しかもおちゃめで、好きな女性には積極的にアタックするが、
任務が下るとデートの途中でも行き先も告げずに消える。時にはヘリコプターが彼を迎え
に来ることもある。いったいこの男、何者?。

 口説かれたのは強気な医師カン・モヨン(ソン・ヘギョ)で、シジンらの携帯をひっ
たくった青年が事故で病院に運び込まれたのをきっかけにシジンと出会った。
 徐々に惹かれあう二人だが、謎が多く仕事優先のシジンとは無理と判断して別れる。し
かし、モヨンが医療団として派遣された紛争国で偶然二人は再会する。彼は治安維持部隊
の隊長として派遣されていた。
 自分の危険な仕事について、シジンは「兵士は命令で動く。たとえ私が善だと信じる信
念が誰かにとっては別の意味であっても、私は最善を尽くして与えられた任務を遂行する。
これまでに3人の戦友を作戦中に失った。彼らと私がこの仕事をする理由は、それは誰か
が必ずしなければならない仕事であり、それは私と私の家族、カン先生とカン先生の家族、
その家族の大切な人たち、その人たちが生きているこの地の自由と平和を守るためだと信
じているからだ」と語る。
 そしてモヨンに、「僕、やることはやる男です。僕のやることの中には、僕が死なない
ことも含まれてるんだ」と笑う。モヨンは、せめて「任務」が下りたことだけは教えてね
と、恋人の「仕事」を受け入れる。
 これって、「死」を背後に感じさせて視聴者を惹きつける、王道の軍人ラブストーリー
だ。大義のための自己犠牲の美しさ。
 紛争国の設定は明らかにISなどのイスラム圏を想定していたり、なにかと北朝鮮が絡む
という、ハリウッド映画の仮想敵がいつもソ連だったのと同じパターン。
 二人の初デートは映画。席についたモヨンが上映前に「明かりが消える直前が一番とき
めくの」と話すと、シジンは「私は、人生で今が一番ときめいている」「明かりが消える
直前に美しい人と一緒にいるから」とささやく。
 韓ドラって、こういう歯の浮くような会話が途切れることなく続くのだ。沈黙は金とか
質実剛健なんて言葉はどこにもない。チャラく、愛くるしく、マメで優しい。
 人の命を預かる医者が人を殺すことを任務とする軍人に恋をし、正義のための任務遂行
を美とするドラマが世界的に支持されるって、どんだけ危ないか。
 軍人が国家に忠誠を尽くすということは、人を殺すときも自分の頭では考えないという
ことなのに。
 でもね、ほどけた恋人の髪を結びながら「自分にできることをしてもらうのが恋愛で
す」という軍人男に、「憲法」しかかかげられない新社会のおっちゃんは勝てるだろうか
…。無理だろうなぁ。
 こうやって、戦争賛美は続くのだ。■

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<ml 用)

「太陽の末裔」公式HP
https://kandera.jp/sp/taiyou/
「太陽の末裔」PR動画
https://www.youtube.com/watch?v=_LOFrAtazDY
第一話 無料公開
https://www.youtube.com/watch?v=AEtfsGNvnIo

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