韓流エンタメ沼『100日の郎君様』

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韓ドラ初心者にお勧めできるのは、「韓ドラ7つの王道コンテンツ」がたくさん入っているもの。こういうのを選べば失敗が少ないのだ。
 以下が7つの「あ、またか」コンテンツ。

 1.記憶喪失
 2.初恋の人(または、昔出会っていた)
 3.男の社会的地位が高い
 4.二人のイケメンから愛される
 5.権力男がリベラル女に影響される
 6.入れ替わり、生まれ変わり
 7.時空を超える

 『100日の朗君様』(2018年)は、86歳の母も夢中になって見た作品の一つで、前記の要素の1から5までが入っている、まさに王道ドラマだ。
 世界的人気のK-PopグループEXOのボーカルD・O(ド・ギョンス)が扮する、ちょっとこじれた性格の世子イ・ユルと、父が反逆罪に問われた結果、身分を隠して生活していた両班の娘ユン・イソ(ナム・ジヒョン)が出会う。
 物語では、世子が政敵の放った刺客に襲われてケガを負い、貧しい村人(イソの育ての親)に助けられるが、目を覚ましたときには記憶を失っていた。
 ところが、一般人としてのスキルがない世子は何をやらせても出来損ないで、村人からは「使えないやつ」と烙印を押される。王様なみの態度のでかさもみんなに非難され、困惑しながらも、彼は村人との関わりの中で次第に変化していく。
 地元の悪代官にお酒を注ぐことを強いられたナム・ジヒョンに駆け寄って腕を取り、「俺の許可なしに一歩たりとも動くな」と言って悪代官と対峙するド・ギョンス。その後、「使えないやつ」から汚名挽回をしていく展開は、見ていてわくわくするほどで、彼の魅力を見る者にたっぷり植え付けてくれる。
 こうして、いつしか二人の心も近づいていく。とくに、村祭りでの二人のキスシーンは、映像としてもまさに完璧。
 その後、世子は徐々に記憶を取り戻して朝廷の陰謀に立ち向かい、最後はイソを迎えに行くという、なんとも安心して見られるロマンチックコメディである。
 敵役のキム・チャオン役として出た実力派俳優チョ・ソンハが、ドラマの軸となって物語をより深いものにしていた。
 世子と政略結婚させた自分の娘から、どうしてそこまで権力にしがみつくのかと問われ、「自分でも分からない」と言いつつ「お前はネズミを食べたことがあるか?」と問うシーンは印象的で、無能な王権の下で必死に生きる人々の姿を想像させて、うならされた。
 村人たちもそれぞれに好演で、特に昔の絵画から抜け出したのではないかと思うほど私たちの頭にある朝鮮農夫のイメージにぴったりだったのがイ・ミンジとキム・ギドゥの夫婦。思い出すだけで笑ってしまう。
 見終わってみて、なんとも愉快な気持ちになると同時に、ナム・ジヒョンの凛々しい美しさを、この作品は見事に映し出していたと思う。
 なお、ド・ギョンスは、EXOの舞台を見ると思わずキャーと声が出てしまうほど魅力的なボーカルで、メキシコ公演(2014年)での「Sabor a Mi」などさすがK-Popという出来で、世界中にファンがいるのがよくわかる。
https://www.youtube.com/watch?v=8Bi6ctgoe7w
 俳優としてのド・ギョンスは少年の複雑な感情を表現する役が多く、当初からその実力への評価が高かった。そして『100日の朗君様』は、彼の新たな一面を引き出したと言えるだろう。
 主題曲「Cherry Blossom Love Song」を歌っているのは、同じEXOのチェンである。
https://www.youtube.com/watch?v=wJi2_U_rGwk

EXOデビュー当時からのメドレー
https://www.youtube.com/watch?v=Y37Dv4MHxQI

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