お弁当は、前日の作って朝持っていきます。子どもの頃、祖母の家に預けられていた時、おばあちゃんは、毎日、お弁当にシャケと卵を入れてくれた。毎日だった。今思えば、収入のないおばあちゃんには大変事だったろうと思う。民族学校に通っていたとき、みんなのお弁当からキムチやケンニプ(エゴマの葉の醤油漬け)の香りがして食べたいなぁと思った。冷蔵庫を開けて、ケンニプが入っていたので、「おばあちゃんこれ、お弁当に入れて」と言ったら、「それは貧乏人が食べるものだ」と言った。うちだって十分貧乏だし、しかも親もいなくて預けられている身で、はぁ?と思った。でも、おばあちゃんは必死でお弁当を作ってくれていた。おばあちゃんは学校のことは知らない。日本社会で、せめて、普通の家のこどものよう見えるためにだ。
おばあちゃんは、死ぬまで、チラシの裏に自分の名前を書き、ハングルを勉強していた。彼女が生きぬいてくれたおかげで、今の私がある。学べる環境にいるのだから、死ぬ気で学ばねばと思う。