母は花火が苦手だ。戦争の時の焼夷弾を思い出すからだ。だから花火大会などは嫌がっていかない。戦争を経験した世代には、そう感じる人が少なからずいる。
私は花火と聞くとスキー場を思い出す。スキーが出来ないのに、スキー場の滑走競技の実況中継の仕事したことがある。そのときに、花火の号数とスポンサー名を言って、打ち上がった後に、それぞれのレースがスタートする。「ゼッケン☓☓、いま、棒の横を通り過ぎましたぁ!」と叫ぶと、隣で「あれはポール」とか囁かれて。今思えば、詐欺じゃないかと思えるほどのレベルだった。あの頃、スキーをやるようなお金持ちになれなくても、花火を楽しめるような生活がしたいなと思った。
ドイツは大晦日にあちこちで花火が上がる。友人が「テロじゃないからびっくりするなよ」と言っていたが、本当に360度花火に囲まれた。いろいろな部屋から花火を見上げた。なんか、私を祝福してくれているように感じた。贅沢な時間だった。