ドイツでぬか床

17年前、入院していた時、医師が「このまま食べられないといけないから、何か食べたいものはあるか?」と聞かれた。

2000年の石原東京都知事(当時)の「三国人発言」に対する抗議行動などで、春に予定していた手術が大幅に遅れた。医者から何回も「どうするのか」と問われ、やっと入院したのが年末だった。今思えば大変な手術だった。開腹してわかったことも有り、身体は悲鳴を上げていたんだなぁと痛感した。術後の痛みもそうだが、何も食べられなくなった。

食べたいもの。。。。頭に浮かんだ「キャベツのぬか漬け」をそのまま口にした。医師は「えっ、キムチじゃないの?」と言ってきた。小さい頃から家ではぬか漬けだった。母の作るぬか漬けは本当に美味しかった。

ドイツにもぬか漬けの素材を一式もってきたが、いざ作ってみると塩の配分が悪く、なかなか味が落ち着かない。毎回の捨て野菜ももったいなく、思わず、食べてしまった。それでも、十分美味しく感じるのは、思い出という味付けがなされているからなんだろう。

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